世界に革命を起こす!代替肉の開発秘話とヴィーガン界の未来ーグリーンカルチャー社長・金田郷史さん特別インタビュー後編

ひつじの仲間はここにいる

今回のひつじの仲間は前回に引き続き、代替肉開発ベンチャーであり、ベジタリアン食品通販会社としてもお馴染みのグリーンカルチャーの社長の金田郷史さんにお話しを伺っていきます。
前編では金田さんがどうしてベジタリアンになったのかや、6畳一間から会社を始めた理由について聞きました。今回は会社設立5年目から取り組んでいるという代替肉の研究開発によって生み出された、完全植物性代替肉の開発秘話を中心に、「ここからが経営者として勝負」と語る金田さんに、今後の事業拡大計画などをインタビューしました。

★「6畳一間からの挑戦。“メイドインジャパン”の代替肉を世界へーグリーンカルチャー社長・金田郷史さん特別インタビュー前編」はこちらから

(取材・写真 神谷真奈)

結果は“思い”が生むもの

ー代替肉の研究は会社設立5年目から取り組んでおられる事業だそうですね。

はい、今もですが僕たちは大企業のように研究専門のラボがあるという訳ではないんです。なので、研究開発を行うのは出荷作業を終えた倉庫隅です(笑)。

実は代替肉の開発というのは、化学的な作業で、その作業で一番大切なのが頭で行うシュミレーションです。経験上、この食材をこの割合で配合したら、こういう感じになるっていうのは大抵の場合、想像することができます。

そういったシュミレーションを、実際に原材料を調合して、形にする作業は出荷作業を終えた昼下がりから行い、食感や味を実際にチェックしていきます。

ちなみに……ですが、代替肉を作るために時折、本物の肉やソーセージなどの加工食品を口にしています。実際の畜肉に近づけるため、肉の食感や味を記憶することは必須であり、とても重要な作業の1つです。

さて、研究開発を始めたころは僕1人が、独学で研究をコツコツと行っていました。独学で化学を勉強して、試作を繰り返して商品を作りました。しかし、経営もしながら、開発もする……それでは結局どっちつかずで開発スピードも上がらず、なかなか満足のいくものを作ることができませんでした。

現在は、理系の研究開発担当がいて、開発に速度感が出てきた気がします。なので、当社で一緒に代替肉を研究したい学生さん、いつでも連絡してきてください(笑)。一緒にヴィーガン界を盛り上げていきましょう。

開発も、会社経営も何より、大切なのが「本当に最高の代替肉を作りたい」という熱い思いだと思っています。当事者である僕も、開発担当者も、社員全員も皆、思いを1つにして、日々の開発・作業に取り組んでいます。大企業のような豪勢なラボや施設はありませんが、我々の本気度は違います。それが一番重要だと感じています。

日本発、革新的な代替肉を世界へ

これまでに発明してきた代替肉。未発売のものもあるが、すべてベジタリアンもしくはヴィーガンである。

ー革新的だという今回の代替肉は、どんな仕上がりになっていますか?

見た目、味、食感、どれを取ってもかなり本物の肉に近い仕上がりになっています。これまで植物性の原料をどのようにして動物の肉感に近づけるか、といった食感面が一番の課題でしたが、それを今回克服・新技術を開発して、うまく再現することに成功しました。
自分でいうのもなんですが、これはかなり革新的なことで、世界的にブームとなっているビヨンドミートやインポッシブルバーガーと肩を並べる程の技術革新ではないかと考えています。試作品を作って試食した時に確信しました。「これは世界に行く」と。

今年7月に完成したばかりのほやほやの技術なんですが、今からお披露目が楽しみでなりません! 是非、ヴィーガン・ベジタリアン、そうでない肉食の方にもみなさんに食べてもらいたいです。

会社の大転換期

ーそれでは今後、この代替肉をどのように広めていく予定なのでしょう?

これまでは企業などお客さんから注文を受けて、カスタマイズしたものを販売するという形態にしていましたが、今後は自社規格品を販売することに特化したいです。

これは会社の大きな方向転換にもなるのですが、やっぱり自分たちが作ったものに誇りを持ちたいんです。所詮、受注して納入した商品は、私たちの手を離れてしまうため、自社ブランドが出ません。技術力を評価してもらい、「グリーンカルチャー」という社名を冠しながら、レストランメニューに掲載してもらったり、スーパーマーケットでも自社製品が並ぶようにしていきます。
そういった意味で、これからの5年が勝負だと思っています。

ーそれはかなり思い切った方向転換ですね。

そうですね。本当にこの商品は自信を持って提供することができると信じているからこその方向転換です。
それに世間での認知というのも多少なりとも、後押ししてくれています。ベジタリアン・ヴィーガンへの理解は海外に比べれば、日本は遅れを取っていますが、それでも会社設立をした時から比べればヴィーガンという言葉も浸透してきていると感じています。

実際、16年末からはビヨンドミートがアメリカで流行し、日本でもテレビ等で代替肉が取り上げられることがあったので、他者企業からの共同研究への打診や、飲食店からの問い合わせが増えました。

そういった環境変化と、一緒に会社を成長させたいという社員が集まってきて、この1年半は会社経営者として岐路に立たされています。このまま安定的な企業経営をするのか、それともリスクを取って、急成長を目指すのか。すごく悩みました。

ベジタリアンを文化にする

しかし、僕が会社を立ち上げたのはベジタリアンを文化のレベルで、日本中に広げることです。社名にあるように「緑の文化」を僕が生きている間に現実したい。だからこそ、今ここでするべきことをしないと、そのチャンスを逃してしまう。だから大きな方向転換の決断をしました。

会社、そして個人の目標として「植物性商品がどこでも楽しめる世の中の実現」と掲げていますが、僕は今10%ぐらいしか達成できていないと思っています。

菜食が文化だという世の中には程遠い。これまで約9年やってきて10%だから100%にするには90年掛かるかもしれない(笑)。でも、自社1社だけではなくさまざまな業種が参入すれば、それは1年後には20%になっているかもしれないですよね。

だからこそ、この業種でプレイヤーが増えることは歓迎しています。

世の中の役に立つ経営者になる

ー最後に会社経営者としての今後の目標を教えてください。

この9年間、経営者らしいことなんてほとんどできませんでした(笑)。

思い描いていたような“かっこいい”経営者ではなく、日々の業務に追われる一従業員でした。「なぜこの商品を作るのか」「だれに食べてもらいたいか」そんな当たり前のことを考えることも怠ってきたと思います。

しかし、新技術が誕生した今、僕は海外も目指せると確信したんです。だからこそ、ここからが経営者としての本番だと考えています。外的要因も加わって、今では銀行や投資家といった方面の方からも興味を持っていただけるようになってきました。やはり海外で代替肉企業が上場したニュース等が大きなインパクトになっているんでしょう。そういったことから、私たちの会社も十分に成長の機会があり、攻めの経営をできる準備が整ったなと感じています。

会社としては来年で10周年を迎えます。周りで応援してくれている人の支え、お客様、家族、社員の支えは何よりも心強い。感謝しかありません。自分でも驚くほど人や環境に恵まれていますし、経営者としてしっかり結果を残せるように努力したい。緑の文化を作ることが僕の使命です。


★金田郷史(かねだ・さとし)
1987年5月27日、東京都葛飾区生まれ。「20代のすべてを仕事に捧げてきた」というほど、過去8年間は仕事一筋で、趣味を持つ暇さえなかった。現在はドライブが趣味。家庭ではベジタリアンの奥さんと一緒に食事を楽しむ。

グリーンカルチャーHP
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Mana Kamiya

理事特定非営利活動法人 日本ヴィーガンコミュニティ
『ひつじの。』編集長。地元新聞社の記者になったのち、オーストラリア・メルボルンに移住。現地の日本語フリーペーパ誌でフリーランスライターをしながら、レストランやカフェのアルバイト、ツアーガイドなどを経験。2018年夏に日本に帰国したのち2018年10月より再び新聞社で働き始める傍ら「多様性のある社会」の実現を目指し、いろいろなことに挑戦中。趣味はクライミング。