V-cook開発秘話と代表理事の苦悩~「ひつじの。」サポートキャンペーン第3弾

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「ひつじの。」そしてNPO法人・日本ヴィーガンコミュニティへの“寄付”をテーマにした特別企画「ひつじの。」サポートキャンペーン!

今週、そして来週は「ひつじの。」の運営団体であるNPO法人・日本ヴィーガンコミュニティにフォーカスを当てていきます。皆様からの熱い思い、サポートがどのように使われているのかを同団体の代表理事である工藤柊さんに神谷が直撃しました。

工藤さんの存在は、関西のみならず全国のヴィーガン界に広がりつつあり、「ひつじの。」の読者のほとんどはご存じだと思います。もちろん、彼のストーリーを知る方も多いはず。ですが、普段から間近で工藤さんと仕事を共にする神谷がさらに、深堀り! 7月1日にリリースされた “V-cook”への思いをたっぷり聞きました。

(取材 神谷真奈)

日本初の“投稿型”ヴィーガンレシピアプリ

ー工藤さんや団体のことはよくご存じな方が読者にはたくさんおられると思いますが、改めて今日は寄付の使われ方をテーマに団体や、工藤さんの思いについて教えてください。

まず、皆さんからいただいている寄付は主に法人運営と事業運営の2つに充てられています。法人運営費とは法人を運営していくに当たり、必要不可欠な事務所などの賃貸(現在事務所は神戸市にあるコワーキングスペースを間借りしている)や細々とした備品などの購入費、そして後者の事業運営費は、法人が行う事業にかかる費用です、現在、後者の事業運営費は主に「V-cook(ブイ・クック)」の開発費に使われています。

法人設立総会が開かれた2018年9月。当時の理事3人で撮った写真。左から神谷、工藤、深森。

ー団体設立以来、力を入れてきて遂に今月リリースとなった“V-cook”。どんなサービスなのか教えてください。

日本初の投稿型のヴィーガンレシピアプリです。このサービスでは、ユーザー登録した人なら誰でも簡単にレシピを投稿することができ、また、名称や材料などからレシピの検索もすることができます。コンセプトは「みんなでつくるヴィーガンレシピ集」。その名の通り、みんなで投稿し、みんなで作ります。今月から一般利用が始まったばかりです。

V-ccokのロゴ。「みんなでつくるヴィーガンレシピ集」がコンセプト。

一番困るのが食事

ーこのサービスには工藤さんの個人的な思いがいっぱい詰まっているそうですね。

そうなんです(笑)。ご存じの方もおられるかも知れませんが、僕は高校3年生の秋、帰宅途中の道で車に轢かれて、ぺちゃんこになった猫を見たことがきっかけで、ヴィーガンになりました。そして、そこから1カ月、水炊きとおにぎりしか食べない生活が始まりました。幸いなことに母の協力があって、徐々にヴィーガン料理の幅が増えていきましたが、この時期は本当に「何を食べていいか分からない!」「でも、ヴィーガンでありたい」そんな葛藤がありました。

ヴィーガンはライフスタイルのことを指しますから、食事だけが問題になってくるわけではありません。しかし、一番困るのが食事。当時は料理なんて、ろくに作ったこともなかったし“動物性を使用しない食べ物”がどんなものか分からなかったんです。だからすごく悩んだ。

ーそれは、ほとんどの人が通る道だと思います。水炊きとおにぎりだけっていう生活はないかもしれないですが。

そうですね(笑)。今考えても、辛かったと思います。協同組合モデルのNPO法人はそこからたくさんの人との出会い、笑顔、ときどき涙を入り交えながら、設立するに至りました。

“ただのレシピアプリ”ではない

ーV-cookはどんな経緯で作られることになったのでしょう?

実は、V-cookは法人を立ち上げようと思っていた頃に考えていた事業のうちの1つに過ぎませんでした。9つあった事業候補の中で「本当に求められているもの」を実現したい。そうしなければ、社会を変えることはできないと考えていました。なので、真っ先にヒアリングを開始しました。

とにかく人に聞くー。

そうでなければ、事業は自己満足で終わるだけ。 これは何か新しいことをするときに大切にしていることですが、この時も数多くのヴィーガン実践者に会いに行き、膝を交えて話し合いました。「ヴィーガンにとって何があれば生活が良くなるのか」を数多くの方々の目線から深めていきました。

そうすると見えてきたのが、既存のヴィーガンレシピの少なさ、そして信用度の低さでした。例えばあるレシピサイトではヴィーガンと書いてあっても、卵や牛乳が入っていることもあったり、ヴィーガンレシピサイトがあっても点在したりしていて、とても見つけにくかったんです。

さらに、興味深いなと思ったのがヴィーガン同士の繋がりの深さ。SNS上でレシピ公開を積極的にやっている人をよく見かけることも多いし、作った料理に対するコメントや「いいね!」の数も多い。それなら、レシピ投稿と、このコミュニティ機能、全部まとめてやってしまおうと考えたわけです。

ーレシピの投稿・共有というのは、他の投稿型レシピサイトが普及してイメージがしやすいと思うのですが、コミュニティ機能とは何でしょう?

レシピを見て料理を作った人がそのレシピに対して「いいね!」というボタンを押せたり、実際にレシピを投稿した人にコメントを送ったりできる機能です。V-cookが目指しているのはただの投稿型レシピサイトではありません。“レシピを通したコミュニティ形成”が目標なんです。

一度は諦めたデザイン制作

ーこれまで工藤さんは開発に最前線でかかわってきましたが、何が一番大変でしたか?

デザインですね。ベータ版のデザインは知り合いであるデザイナーにお願いして作ってもらいました。しかし、デザイナーの都合もあって7月にリリースした正式版アプリのデザイン委託は断念。それで「自分で作ろう!」と動き出したんですが、これが大変だった。

実はβ版のデザインをデザイナーにお願いする前に一度、自分で作ったのですが……これがひどくて、一度諦めているんです(笑)。そんな僕がまたデザインをすることになるとは思ってもみなかった。2ヶ月以上かけて、ときには自室に缶詰になって何十時間、パソコンと向き合うことも少なくありませんでした。

ユーザーの経験をデザインする

デザインにはユーザーインターフェイス(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)の2種類があります。UIはボタンの色や配置など、いわゆる目に見える表面のデザイン。後者のUXは、ユーザーが経験するであろう流れや経験のデザイン。つまり、ユーザーの動きを研究・予測し、その流れに合わせて導線を考えることで、使う人目線に立った利便性、機能性を高める作業です。

もちろん、UIもUXも僕が担当です(笑)。特に大切だと思っていたUXは、多くの人にヒアリングをして研究・改良を重ねることで着実に実行していきました。それと並行して、僕も料理をするように心がけました。もともと頻繁に、料理を作る訳ではなかったので、実際に料理を作る側に立つことで新しい発見がいっぱいありましたから、結果としてデザインを担当することができて、すごく良かったなと今は思えます。

ヒアリングをする中で、今のV-cookにとってはウリの機能となる「タイムライン機能」を追加することになりました。

偶然の出会いを“メイク”する

今まで、僕がV-cookを使う時は冷蔵庫にある食材を検索して、レシピを探すという流れでした。つまりキャベツがあったら「キャベツ」と検索バーで打ってキャベツを使った料理を探すという流れ。

しかし、料理を頻繁にする人は違いました。何かしらの方法でレシピを見つけ、そのレシピを作るために材料を買ってくる。そのレシピとの“偶然の出会い”が作る料理を決めるんです。これは大きな気付きでした。

そのため、そのレシピとの“偶然の出会い”を作る必要があると感じました。そこで考えたのがタイムラインです。他のユーザーが「いいね」を付けたレシピや、新しいレシピがトップページに次々と表示される機能です。「本当に求められる」アプリに、この機能は必須であると思えたし、この偶然の出会いで、作る人のレシピのレパートリーはグッと増えるはず。

そうやって最後までユーザー目線で、妥協せずに作り込みました。我ながら、満足できる仕上がりになったと思います。

ポジティブな工藤が唯一落ち込んだ瞬間

とあるプレゼンテーションでプレゼンをする工藤さん。

ーHello Veganな社会に向けてこれまで邁進してきましたが、正直な話、途中で諦めたくなったり、嫌になったりすることって今までなかったですか?

それもたまに聞かれるんですけど、元がすごくポジティブなんでしょうね、何をするにも活動は楽しくて、すごく辛かったとかっていうのは今までありませんでした(笑)。

ただ、4月の頭に風邪をひいてしまって……精神的に落ちこんだことがありました。その時はデザインの仕上げも佳境に入っていて、ストレスが溜まっていたのでしょうね。

それまで作業をひとりで黙々とこなし、“前に進んでいる感覚”がなかった。もちろん、日々やらないといけないことは、やっている。だけど、目に見える成果がない。「これをやり遂げた!」とか「完成しました!」とか表立った成果がなかったんです。

それにV-cookが完成しても、収益が出るのか、企業と提携できるのか、何一つ、確証がない。それで、ちょっと塞ぎ込んでしましました。 でも、だからこそですね。それを確かめに行こうと東京行きを決意したのは。

人生をかけてV-cookそして日本ヴィーガンコミュニティに労力と時間をかけてきた工藤さん。

「うまくいかないかもしれない……」。そんな気持ちを抱えつつも、東京行きを決意した工藤さんが東京で待ち構えていた経験とは?

来週のパート2につづく……


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(ひつじの。編集部一同より)

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Mana Kamiya

理事特定非営利活動法人 日本ヴィーガンコミュニティ
『ひつじの。』編集長。地元新聞社の記者になったのち、オーストラリア・メルボルンに移住。現地の日本語フリーペーパ誌でフリーランスライターをしながら、レストランやカフェのアルバイト、ツアーガイドなどを経験。2018年夏に日本に帰国したのち2018年10月より再び新聞社で働き始める傍ら「多様性のある社会」の実現を目指し、いろいろなことに挑戦中。趣味はクライミング。

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Posted by Mana Kamiya