「超肉食からヴィーガンへ。その時、パートナーは…」大山広美さん

ひつじの仲間はここにいる

「こんにちはー」。

大阪市城東区にある大山さんのヒーリングサロンを訪ねると笑顔で迎えてくれた。「ここでセッションやセミナーをしています」と笑顔でセミナーの様子を語る。

長く続けている日本語学校のでの教師業と両立しながら、サロンをオープンし、丸2年。「これをするために生まれてきた」と思うほど、今の仕事は生きがいだ。しかし、それとは反対にヴィーガンを始めた7年前は肉食に対して強い拒否感を持ち「人間を幸せにすることに一番抵抗があった」という。

大山さんはどのようにして、考えを変えていったのだろうか……いきさつを語ってもらった。

(取材・文・写真一部 神谷真奈)

”怒り”の矛先

ヴィーガンに出会ったのは2011年11月。大阪・京橋駅で行われていた毛皮、動物実験に反対するパネル展を偶然見かけた。それまでであれば、素通りしていたかもしれない動物愛護運動だったが、身近に考えずにはいられない出来事がその直前にあった。

犬を飼い始めたのだ。しかも、3匹。ほぼ同時期に。

家に居るときはいつも一緒。まーくん(左、チワワ)は特に恥ずかしがり屋で、家に見知らぬ人が来ると大山さんの陰にいつも隠れている。

「犬を飼い始めて、思ったのは動物ってこんなにも個性豊かで、人間と同じような感情があるんだってこと」。

パネル展に展示されていた動物の姿が我が犬の姿と重なり、胸が詰まるような思いをした。主催者とすぐに連絡先を交換し、アニマルライツ活動にも精力的に参加。自然とヴィーガンを知り、団体に加入してから2、3カ月後にはヴィーガンとなっていった。

しかし、急に食生活が変わったことで夫とは喧嘩をすることが増えた。

なんといってもヴィーガンになる前は「朝からステーキ」というほど“超肉食”で、野菜なんて目もくれなかった。「野菜なんて味ないし、なんで人はサラダなんて食べるんだろう」って思っていたぐらいだ。

「なので当時、ヴィーガンではない夫とは、かなりの頻度で言い争いをしていていたな。動物愛護のドキュメンタリーを見た後に『これを見てもヴィーガンにならないやつなんて、あり得ない!』などと強い口調で言っていたので当たり前ですよね(笑)。最初は夫も私に合わせて動物性食品を食べなかったり、団体の活動に参加したりしていたけど、無理していたのでしょう。一緒にやっていけないと言われたことも何度かあった」。

また、ヴィーガンになる以前から親しくしていた友人とはぎくしゃくすることが多くなり、友達が離れていった。

「『人間はなんてひどいことをしているんだ』っていう“怒り”で活動をしていたから、無意識のうちに周りに攻撃的になっていた」。

アニマルライツ活動の仲間でさえ、争いが絶えず「いつのまにか自分が幸せでなくなっていた。こんなんで本当に世界平和になるのか」と疑問を持ち始めた。

ヴィーガン弁当で大阪のホームレス支援をするボランティア活動に参加したことも(大山さん左)。

幸福とは何か

ちょうどそのころ、【ヴィーガン=難しい、お金がかかる】と言うイメージを払拭したいと考え、2014年にウェブサイト「すぐベジ!」を立ち上げ。普通のスーパーで買える“普通”の食材を使った手頃で、かつ簡単というコンセプトの下、レシピを投稿していった。「『だれにも文句なんて言わせない!』っていう意気込みで始めて(笑)。そうしたら、反響がすごいあってびっくりした」。

興味深いことに一番反響が大きかったのがアレルギーを持つ子供がいる親御さんからだった。「こんな簡単に」とか「おいしい」などのコメントが寄せられ、素直に嬉しかった。並行して料理教室も数ヵ月に1回ペースで開く中、気づき始めることがあった。

料理教室では「こんなものが?!」とか「こんなに簡単に??」と言われることが多かった。「簡単に調理できるところ、身近なところで買えるというコンセプトを全面に押し出したのが良かったのかな」。

「まずは人の心が幸せでなければ世界平和は築けない。動物の幸せを願うためには、人間の幸せも願わなければならない」。

不和が続いていたアニマルライツ活動は2016年で一旦休止。前からずっと気になっていたシータヒーリングを勉強しようと、現在共に活動するチームアガペーの代表の森島理央さんのセミナーを受講。「人をどれだけ愛していたのかを思い出し、驚くほど早く学習していった」という。方向転換から約半年経った16年10月に、自身のサロン「Healing Space Uni」を開いた。

未来志向の考え方

思考が怒りベースから「私の幸せだから選択している」に変化したことで、自然と人が戻ってくるようになり、逆に相手からヴィーガンについて聞いてくれることが増えた。夫とは互いに互いの在り方を尊重できるようになり、争いもなくなった。

「今はヴィーガンが当たり前すぎて、とりわけ人にヴィーガンとも言ってないなぁ。ただただ、地球上に生きてる1人の人間って感じ(笑)」。

今は、シータヒーリングを1人でも多くの人に伝え、教育、医療、企業などに生かしていきたいと願う。そしてこれまで通り「やっぱり料理でも貢献したい」と言う思いも強い。そんなこともあって最近更新を怠っていた「すぐベジ!」へのレシピ投稿も再開し始めた。

また、様々な感情から一度はヴィーガンを実践する人から遠ざかったが、去年加入した日本ヴィーガンコミュニティは今までにない風を吹き込むそんな存在になっていくと期待を寄せている。「ヴィーガン以外の人を排除しない雰囲気づくり。もちろん、誰もが受け入れやすい社会作りを目指しているのだから、当たり前だと思うけど、それぞれの在り方が認められる、そんな組織になってほしい」と目を輝かせた。

甘えん坊の愛犬・たえちゃん(チワワ)

★大山広美(おおやま・ひろみ)

1974年生まれ。ヒーラーの仕事に加え、2008年から現在まで日本語教師として働いている。これまで教育系の事務仕事や塾の受付なども経験。夫で韓国人のセヒョンさんとはスペインに短期留学に行った際に知り合い、11年に日本で結婚した。趣味はもちろん料理、韓国ドラマ鑑賞、韓国語。たえちゃん(チワワ)、マーくん(チワワ)の2匹の犬に加え、保護猫・りんと暮らす。

大山さんの料理レシピサイト すぐベジ!

Instagram: @hiromitaemakai


記事を読んでくださったあなたへ

「ひつじの。」のウェブサイトにお越し頂き、

そして最後まで記事を読んでいただき、本当にありがとうございます。

ひつじの。はヴィーガンの”体温ある声”を届けるため、NPO法人・日本ヴィーガンコミュニティが運営を行っております。

孤独や不安を抱えるヴィーガン=「ひつじ」へメッセージを届けようと、編集部一同、寄稿者、取材対象者は全員ボランティアとして参加しています。

人間、動物、地球、すべてに優しく、明るい未来を一緒に作るため、サポートをしませんか?

1日10円からできる手軽な社会貢献。ぜひ、以下のボタンよりサポートの詳しい情報をご覧下さい。

(ひつじの。編集部一同より)

The following two tabs change content below.

Mana Kamiya

理事特定非営利活動法人 日本ヴィーガンコミュニティ
『ひつじの。』編集長。地元新聞社の記者になったのち、オーストラリア・メルボルンに移住。現地の日本語フリーペーパ誌でフリーランスライターをしながら、レストランやカフェのアルバイト、ツアーガイドなどを経験。2018年夏に日本に帰国したのち2018年10月より再び新聞社で働き始める傍ら「多様性のある社会」の実現を目指し、いろいろなことに挑戦中。趣味はクライミング。