誕生日には“モノ”ではなく“コト”を送ろう!瀬下さん、バースデードネーション目標額200%超を達成

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寄付をお願いしていたバースデードネーションのページ。あなたでも簡単に作れる。

これからの時代、誕生日のプレゼントは“モノ”から“コト”を送るのが当たり前になる……?誕生日プレゼントの代わりに寄付を募るまったく新しいプレゼントの形「バースデードネーション」を4月に実施し、見事に目標額を達成した瀬下貴子さん。「今までのどのプレゼントより嬉しい」と語る彼女に、バースデードネーションとは何か、どのように始めるのかお伺いしました。

(編集・神谷真奈)

ーまずはバースデードネーション達成おめでとうございます。今の気持ちは?

自分史上かつてない数の「おめでとう」を言っていただき、照れくさくもありました。ただ、私の気持ちに共感してもらった感動で胸がいっぱいです。最終的に61,500円をいただき、達成率は205%。一生忘れることのできない経験でした。

実はスタート時はとても怖くて不安でした。バースデードネーションは、まだ日本社会には浸透していない新しい考え方で、受け入れてもらえるか心配でした。度胸はあるタイプだと思っていたのですが、それでも新しいことを始めるのには勇気がいります。寄付のお願い文を何度も書き直したり、おっかなびっくりでしたね(笑)。

 

ーバースデードネーションと言っても、この記事を読んでいる方でも聞き慣れないという方も多いと思います。まずどういうものか教えてください。

はい、バースデードネーションとは、その人の応援したい団体への寄付を誕生日に合わせて周りから“集める”ことです。つまり、誕生日プレゼントを送る代わりに、その人が応援したいと思っている団体へ寄付するということです。

私が今回、みなさんに寄付をお願いしたのは、日本ヴィーガンコミュニティ(JVC)なわけですが、まずは「誕生日プレゼントの代わりにこの団体に寄付してもらっていいですか?」とお願いします。そして、協力してくれそうな方にはそれ専用に作ったページのリンクを送り、そこからそれぞれが寄付をするというような流れです。

日本において、お金は「頭を下げて貸してもらうもの、いただくもの」という概念が未だ根強くあるため、腰を低くしないと集まらないものと考えている方々が多いようです。しかし、社会貢献への関心が高く、寄付文化もある海外では寄付が社会により良い影響をもたらすと信じている方が多いので、バースデードネーションもその1つの形として、浸透しつつあります。大きな団体になれば、会員もたくさんいて、「毎日誰かが誕生日」。寄付が大きな収入源となる非営利団体にとっては絶好のチャンスだと考えられます。

私もファンドレイザー(資金調達専門家)の1人として、ヴィーガン・フレンドリーな社会へ変革したいという気持ちがありますし「寄付をお願いする」ということに、大きな抵抗は感じませんでした。

 

ー確かに日本ではあまり聞いたことのない斬新なアイディアですね。今回、バースデードネーションをすることになった経緯を教えてください。

現在、ファンドレイジング(資金調達)の勉強をしているんです。様々な調達方法がある中で、バースデードネーションというものがあることを知りました。実は、それを知ったのが誕生日の直前で……(笑)。あまり時間がないなと思ったのですが「このタイミングを逃したら来年になってしまう!」と思い、やってみようと決意しました。

私が先頭を切って挑戦してみることで、JVCのメンバーが続いてチャレンジしてくれるかもしれない。そのためのノウハウを私自身の経験として共有ができるのではないかと思い、ぽんと飛び込みました。

 

やってみて気づいたのですが、バースデードネーションの良いポイントって「自分自身の生き方を振り返る機会」になることなんだなと思いました。

と言うのも、寄付をお願いする相手が家族や友人であれば、たとえ寄付先の団体のことを深く知らなくても「この人が応援したい団体なら、人柄を信じて応援しよう」と言ってもらえるんですね。自分というフィルターを通して寄付先を見るわけです。「あなただから」という理由でこころよく、参加してくれる。これって、これまで私がどう人と向き合ってきたかを自分自身に問うことになると思います。だからこそ、今回の成功は今までのどのプレゼントよりも価値があるし、嬉しかったです。

日本ヴィーガンコミュニティのメンバーと訪れたエイタブリッシュ(瀬下さんは一番右)。この日はケーキの試食会。団体に入り、ヴィーガン仲間が増え、外出する機会も増えたという。

ー素晴らしいですね。誰でも簡単にできるものなんでしょうか?

誰でもできます!日本のNPO団体が数多く決済システムとして利用するインターネットサービスSyncableよりバースデードネーションをお願いするページを作ることができます。私は、今回誕生日の前後2週間、通算で1ヶ月間ページを公開して、募集を行いました。その間は、SNSを使ったり、直接会った友達に声をかけたりしてお願いをしました。

やはり、直接お話ししてお願いするのが一番効果的でした。終了日直前から友人に声を掛けたり、個人的なコンタクトが功を奏して、ここまでの金額を達成できたと思います。

 

この世界に生まれれば、生きとし生けるものすべてに誕生日があります。そして誰にとっても「誕生日」はお祝いしたいし、されたいもの。その気持ちの共有が既にできているので、お願いするハードルは低くなります。それと同時に、お祝いとなると寄付する人ハードルも同じく低いと思います。

その「おめでとう」の気持ちを寄付という形で社会貢献につなげ、団体の活動を通して、お金やリソースを社会に循環させていく大きなパワーを秘めています。

もちろん、プレゼントはどんなものをいただいても嬉しいですし、心を伝えるという大切な価値のあるものです。しかし、バースデードネーションには、自分が価値を感じるものに対して第3者から寄付をしてもらうという、新しい“価値創造”の流れが生まれるんですね。個人的に、こう言った潮流は今後、どんどん強くなって行くと思います。例えば、誕生日に旅行をプレゼントしてもらうことや、美味しいごはんをご馳走してもらうことが主流になりつつあるように、物質としての「モノ」が、価値や経験としての「コト」と一致してきています。その点で、バースデードネーションは全く同じですから。

 

ー瀬下さんのお話しを聞いて「やってみたい!」と思った方もおられると思います。アドバイスをお願いします。

まず目標金額ですが、ご自分の心地良い設定で挑戦してみたらいかがでしょうか。私は目標は30,000円と決めました。たくさんの方のバースデードネーションの案内文をチェックして相場を読んだのと、もし私がプレゼントをもらうとしたらその金額くらいだろうかという予想したからです。しかし、これはあなたが行うあなただけの寄付活動なので、心の負担にならない金額がベストです。

寄付先は「自分が心から寄付したい、共感できる団体」がおすすめです。自分自身が寄付したい団体であれば、血の通った心からのお願いの言葉がたくさん出てきて、そこにあなたの熱意が宿ります。人はその熱意を感じ取って、共感してくれます。

そして一番大切なポイントは、寄付をお願いする相手への感謝と敬意を忘れないことですね。寄付いただいたら、真っ先に「ありがとう」を伝えましょう。そして引き続き、寄付がどのように使われたなどの情報を伝えてあげてください。「寄付で貢献した経験」が生まれ、社会課題の解決の輪が広がっていきます。

 

ー今後、バースデードネーションという新しいプレゼントの方法、日本では定着していくでしょうか?

日本には寄付文化がないと言われているのですが、実はそんなことはなく、寄付白書2017によると、2016年は人口の45.5%という約半分の人がなんらかの形で寄付をし、寄付総額は7,000億円を超えます。2011年の東日本大震災が発生したときは、総額で1兆円超の寄付がなされました。津波で流されている家々や、亡くなられた方々の人数などを目の当たりにすると、被災地の方々を助けたいと思うのが人間の心です。ですから、解決すべき問題を目に見える形で共有することができれば、寄付市場は大きくなっていくと予想されます。

バースデードネーションが日本に定着していくかどうかは、私たちひとりひとりが社会で起きている課題に敏感になり、みんなで解決していこうという意識を高めていくところにあります、というのが模範解答です(笑)。しかし最近では、若い世代が率先して社会を変えていきたいと、元気に活動している姿をよく見かけるようになり、SNSでの自由な情報発信力にも長けています。今後は社会貢献という堅苦しい言葉に縛られず、「誕生日にちょっとオシャレな寄付集めがかっこいい」のようなものに発展していくかもしれませんね。個人的には、社会課題に気付いた人に、気軽な気持ちで挑戦してみてもらいたいです。

「恵比寿ファラフェルブラザーズ」でファラフェルを頬張る瀬下さん。

★瀬下貴子(せしも・たかこ)

1976年4月8日、横浜市生まれ。通称シエナさん。もともと肉が苦手だったが、学生の頃にカナダに留学したことをきっかけに段階的にベジタリアンからヴィーガンになる。友達とスイーツを食べるのが好きなので、現在は時々ラクト・オボ・ベジタリアン。趣味はアロマテラピーで、精油を使った調香が得意。現在、ファンドレイジング(資金調達)を勉強している。

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Mana Kamiya

理事特定非営利活動法人 日本ヴィーガンコミュニティ
『ひつじの。』編集長。地元新聞社の記者になったのち、オーストラリア・メルボルンに移住。現地の日本語フリーペーパ誌でフリーランスライターをしながら、レストランやカフェのアルバイト、ツアーガイドなどを経験。2018年夏に日本に帰国したのち2018年10月より再び新聞社で働き始める傍ら「多様性のある社会」の実現を目指し、いろいろなことに挑戦中。趣味はクライミング。

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Posted by Mana Kamiya